ある建設会社の副社長とご縁があり、新入社員研修の特別講師として、GWを挟んでの5日間講義をしてまいりました。
テーマは、
『社会人になっても最低限必要な算数・数学』です。
普段、小学生・中学生を相手に個別指導を行い、いわゆる集団授業のような講義形式をとっていない私です。
しかも相手が20代前半の新社会人ということで、果たしてうまく講義ができるだろうか、戸惑いもありました。
ですが、これも新たな発見、自分探しにつながるに違いない!と、思い切って引き受けることにしました。
依頼していただいた建設会社にとっても初の試みです。
「高卒の新入社員もおり、最近の若者の学力低下が心配。何とか仕事をしていく上で困らない最低限のことを教育していただきたい」というのが副社長のご要望でした。
人事・教育担当の社員さん3名と何度も事前打ち合わせを重ね、新入社員さんの個々の学力確認、それに伴う講義内容等の話し合いをしました。私の方は講義資料やテスト等の作成をパワーポイントにて行いました。約3ヶ月間、本業の塾以外に時間を費やしたわけですが、なにぶん初めての経験で私も苦労しました。
講義内容の詳細は、
「四則演算、面積、体積、単位の変換、割合、直角三角形、三角比、勾配計算」といったもので、これは建設業では欠かせない内容です。
今回私に依頼をいただいた理由の一つとして、
私が以前建設業に携わっており、現場での経験、ノウハウを少なからず知っているということがあったと思います。
こうして3ヶ月の準備期間の後、実際の講義がスタートしました。
参加した20名ほどの新入社員は、皆さんさすがに真剣です。
入社してすぐ、新入社員研修として社会人のマナー、心得、電話対応に至るまで様々な教育を受け、その流れを受けての特別研修という位置づけでしたので。
私も最初は緊張しましたが、元来人前でしゃべるのが嫌いではなかったこともあり、調子づいてくるとだんだん気分が良くなり、1日4時間半の講義も毎回延長してしまう羽目になりました。
そんな研修も後半の4日目のことです。
昼休みに、私のところに一人の新入社員さんがやってきました。
「先生ちょっといいですか、今お忙しくないですか?」
体はそれほど大柄ではないけれどガッチリ体形の好青年といった感じです。聞くと二十歳とのこと。
「先生、これから社会人として、今回の研修内容がすらすら理解できる日が自分に来るんだろうか、とても不安になっています。今まで全く勉強をしてこなかったことに焦りを感じています。」と。その顔つきは真剣そのものです。
私は、
「大丈夫だよ。できるようになるよ。
今焦りを感じ、自分でやらなきゃ、このままじゃまずいと感じたのなら、それは今がチャンスってこと!
他人から言われたのではなく、自身でやならきゃと言うことに気付けたんだから!
二十歳やろ?!まったく遅くないと思う。
すぐにやろう!」と言いました。
彼の答えは、
「わかりましたっ!!」でした。
もう少し彼の話を聞きました。
「私は勉強、特に算数が小学校の時から嫌いでほとんどわかりませんでした。そのため勉強はそっちのけで、今になるまで自分の好きなことばっかりしていました。」
好きなことって何?と聞くと、
「虫取りとか川遊びとか・・・」とにかく自然と触れ合うことだと言います。
私は思わず、
「素敵なことやん!!自然に触れることが好きってすごく良いと思うなあ。それに自分の好きなことを目一杯やってきたって素晴らしいやん!」と言いました。
「あんな!会社入ったらな、勉強も確かに大事やけど、そればっかりじゃないねん。特に建設業なんて、現場動かしていくには、人間関係やその場の雰囲気を作っていくことも大事、実際手を動かすのは作業員さんなわけで、その人たちに気持ち良く動いてもらうためには、図太さの中にも細やかな気遣いも必要。そういう現場を回していくということにおいては、○○さんはすごく合ってると思うわ!
建設現場は都会ばっかりではなく、田舎のケースもある。そんな自然が多い環境で働くのに、○○さんの自然が好きっていうのはすごく合ってるし、そこで自分の得意な分野をどんどん見つけることもできると思う!
勉強がすべてではないと言ったけれど、「できない」より「できる」方が絶対に良い。周りの評価が高まる、といったことも確かにあるけど、それよりも自分に対する自信が増すし、何よりも勉強から得られる知識、能力が増えることで「自分の行動範囲、視野つまり世界が広がる」から。今頑張らなきゃと感じたなら、すぐに動いて!」
そんな会話をし、最後に彼が言いました。
「先生の塾に通ってもいいですか!」ですって!
何て嬉しい言葉でしょう!
「おお、もちろん、いつでも来てちょうだい!」
神戸市中央区三宮町(三宮・元町)個別指導個人学習塾 「順進塾」
コメントをお書きください